孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
そうか、まだ実感はないが私は海星本部長と結婚するんだ。
この数日、とにかく怒濤の展開で現実味がまるでない。

「近いうちに花音のご両親に挨拶へ行かなきゃだし、でもさすがに明日はご迷惑だろうから来週でも都合を聞いておいてくれ」

「……はい」

私を置いて話はどんどん進んでいく。

「式の日取りも決めないとな。
妊婦で花嫁はつらいだろうから早いほうがいいんだろうが、どうだろう?
それとも子供が生まれて落ち着いてから改めて挙げたほうがいいんだろうか」

もうそこまで海星本部長は考えていて驚いた。
けれどひとつ、段取りを飛ばしている。

「あの」

「なんだ?」

怪訝そうに眼鏡の奥から、ちらりと彼の視線がこちらへ向かう。

「海星本部長のご両親へのご挨拶は……?」

私の両親だけして、彼の両親にはしないなんてわけにはいかないだろう。
それに両家の顔合わせの問題だってある。

「俺の両親は……」

言い淀んで海星本部長は黙ってしまった。
結婚していない彼にも跡取りを儲けることを社長を継がせる条件にしてくるほど、彼が両親からよく思われていないのはすでに承知している。
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