孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
エレベーターを降り、部屋の鍵は彼が腕時計をかざすだけで開いた。

「部屋は携帯で開く。
こっちも登録しないとな」

「ほえー」

感心して変な声が出る。
けれどくすりと小さく笑われ、みるみる顔が熱くなっていった。

案内されたウォークインクローゼットに持ってきた服をしまっていく。
そんな私を戸口で右肩を壁に預け、海星本部長は見ている。

「思ったんだけどさ」

「はい?」

「……服が、地味だよな」

それは馬鹿にされているようで、カッと頬が熱くなった。

「地味で悪いですね!」

私だってお洒落な服を着てみたい気持ちはある。
しかしどんな服を選んだらいいのかわからないのだ。
それに私なんかには似合わないとも思っていた。

「怒ったんなら謝る」

勢いよく振り返ったら、彼は姿勢を解いて私の前に立った。

「でも昨日の花音はとても綺麗だったし、せめてそのひっつめ結びやめて眼鏡を外したら……」

海星本部長の手が私の眼鏡にかかり、外させる。
けれど中途半端なところで止まった。

「……いや、このままでいい。
特に眼鏡は俺の前以外では絶対に外さないこと」

「はぁ……?」

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