孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
「よせよ。
俺はその代わり、俺の子を産めとか滅茶苦茶な条件を出してるんだからさ」

自嘲するように小さく肩を竦め、彼はコーヒーをひとくち飲んだ。

「それだけじゃありません。
高志のことも」

借金を私に押しつけていなくなり、それで終わりだと思っていた。
しかし海星本部長は彼を探しだし、形だけではあったけれど謝罪させてくれた。
それに警察に連れていかれる彼を見て、溜飲が下がらなかったかといえば嘘になる。

「それこそあれは、俺がアイツを酷い目に遭わせたかったからやっただけだ」

「海星本部長が、ですか?」

しかし、彼が高志にそこまでの恨みを抱く理由がわからない。

「昨日、花音は『気持ちいいのが嬉しい』と泣いていただろ?
抱かれるのは苦痛だとも言っていたし、あれを見て今までどれだけ花音はつらい思いをしたんだろうと悲しくなった」

隣りあう彼の手が私の手に重なる。

「借金だってそうだ。
三千万なんて大金、背負わせて捨てるなんて花音に惨いことをするヤツは、絶対に許せなかったんだ」

ぎゅっと私の手を握る海星本部長の手に力が入る。
痛かったがそれだけ彼が怒っているのだとわかって、嬉しかった。

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