孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
ただ、三台は凄いな、って思っただけで。

シートベルトを締め、海星本部長は車を出した。
レジデンスを出て道の両側に並ぶのは、ここのような低層レジデンスか、高級住宅だ。
街の中心には駅があり、そこに建つビルの一階にはスーパーをはじめ店舗がいくつか入っているのが見えた。

「なにか食べたいものはあるか」

「いえ、特には……」

「わかった」

車の中はお洒落なジャズが流れていた。
いかにも海星本部長っぽい。
車は街を抜け、さらに走って行く。
高級繁華街に入り、百貨店の駐車場に彼は車を預けた。
そのまま百貨店のレストランフロアへと向かう。

「なんにするかなー」

私と手を繋ぎ、彼はぷらぷらと店を見て回った。

「花音には精をつけてもらわないといけないし、鰻にするか!」

一軒の店の前で立ち止まり、海星本部長がにぱっと私の顔をのぞき込む。
精をつけないとって、また今晩もあれなんですかね……?
などと一抹の不安がよぎっていったが、考えないようにした。

個室に案内され、広げたメニューは昨晩に引き続き速攻で閉じそうになったが、かろうじて耐えた。
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