孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
だって海星本部長が連れてくるお店って、一食分の金額で何日やっていけるか考えてしまう金額なんだもの!

「どうかしたのか?」

私が挙動不審だったのか、海星本部長が聞いてくる。
いや、なんかちょっと愉しそうに顔が崩れているから、どうしてかなんてもうわかっているに違いない。

「……なんでもないです」

平静を装い、メニューに視線を落とす。

「ほんとに花音は可愛いな」

彼の声は完全に愉しそうだが、きっとあの可愛いは普段周りにいない、珍しいものに向けるアレだ。

「それで、どれにする?」

どれと言われても、なにを選んだらいいのかわからない。
いや、食べたいものはあるのだ。
しかし金額的にどの当たりを頼んでいいのかわからない。

「俺はうな重の特上にしようと思うが」

メニューのその欄を見て金額を確認する。

「じゃあ、私はひつまぶし、で」

安心してメニューを閉じる。
これで問題はないはず。

店員を呼んで海星本部長が注文をはじめる。

「うな重の特上とひつまぶしの極上を。
吸い物はどちらも肝吸いにしてください。
あ、うな重は大盛りでお願いします」

注文を聞いて固まった。
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