孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
「いっぱい傷ついてる花音の心を、少しずつ治していこう。
必要ならカウンセリングも手配する」

真面目な顔で海星本部長が頷く。

「ありがとう、ございます」

彼のおかげで私は自分が傷ついているのだとようやく気づけたばかりだ。
どうすれば治るのかはわからないがそれでも、彼と一緒にいれば少しずつ癒やされていくのではないかという気がしていた。

「花音の借金三千万、話をつけてきた」

美味しい鰻を堪能していたら唐突に言われ、箸が止まる。

「それは……すみませんでした」

交換条件だったとはいえ、やはり三千万なんて大金を払わせるのは気が引ける。

「いや?
結局、一銭も払わずに済んだしな」

なんでもない顔で海星本部長は大口を開けて鰻ごとご飯を頬張ったが、それって?

「あのー」

「ん?」

どうかしたのかとでもいわんばかりに彼は首を少し傾げたが、説明が欲しいです!

「ああ。
借用書は確かに、花音が借りたことになっていた。
でもな」

箸を置き、やっと彼が事情を話してくれる。

「違法貸金業者……いわゆる闇金だったからな。
金を借りても返す義務がないんだ。
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