おさがり姫の再婚 虐げられ令嬢は姉の婚約者だった次期公爵様に溺愛される

14話 夫は姉と愛し合っていた

 一目散に国王の部屋へ向かう。
 いきおいよく扉を開いて、控えの間の絨毯を踏んだ、そのとき。

「本当に悪い王様ね」

 聞き覚えのある声がして、シュゼットは凍り付いた。

 私室へつながる扉がわずかに開いていて、声はそこから聞こえてきていた。

 隙間にそっと目を当てる。
 部屋の中には親密そうに抱き合っている一組の男女がいた。

 片方は夜着に着替えたアンドレ。
 そして、長椅子に座った彼の頬に手を当てて、食らいつくようなキスをしている紫ドレスの女は――。

(お姉さま)

 心臓が止まる心地がした。

 なぜカルロッタがここにいるのだろう。
 シュゼットの両親と姉は、今晩は客間に滞在することになっていた。宮殿にはいるが国王の私室に入る許可は下りていないはずだ。

 混乱するシュゼットの耳に、姉の笑い声が突き刺さる。

「今頃シュゼットは泣いてるでしょうね! 初夜なのにいつまでも国王がやってこないなんてかわいそうだわ。今からでも行ってあげたら?」
「嫌だね。どうして国王の僕が、あんな傷物を抱かなくちゃならないの?」

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