おさがり姫の再婚 虐げられ令嬢は姉の婚約者だった次期公爵様に溺愛される
43話 王弟リシャール
まずは王太后に失礼がないように振る舞おう。
失敗に付け込んで、メグたちが因縁をつけられないように。
遅刻なんて言語道断だ――ふと時計を見たシュゼットは困った。
まだ着替えもしていないのに、晩餐会がはじまるまであと二時間しかない。
「支度を急いでいただけますか?」
「はっ。そうでした!」
メグたちが大慌てでやってくれたおかげで、なんとか予定に間に合った。
宮殿には、王族が集まって食事をとるためだけの晩餐室がある。
金でできたテーブルには真っ赤な薔薇の花が生けられ、上等な織物を使ったテーブルライナーの色は絨毯と同じ深紅。
並べられたナイフとフォークは、どれもピカピカに磨き上げられていた。
(今日の座席は特殊ですね)
世話人に案内された席についたシュゼットは短いベール越しに周囲を見回した。
テーブルの中央にアンドレ、両脇に宰相と王弟が座っている。
その向かいに王太后ミランダとシュゼットが肩を並べる形だ。
ラウルの姿はなかった。仕事のため不参加と聞いて、シュゼットは残念に思った。
この場に彼がいてくれたら、いくぶんか安心できたのに……。
シュゼットはちらりと王太后を見る。
自慢の茶髪を夜会巻きにして、紫色の瞳を際立たせる化粧をほどこしたミランダは、非常に美しくて気が滅入る。
(とうてい五十歳間近には見えません……)
失敗に付け込んで、メグたちが因縁をつけられないように。
遅刻なんて言語道断だ――ふと時計を見たシュゼットは困った。
まだ着替えもしていないのに、晩餐会がはじまるまであと二時間しかない。
「支度を急いでいただけますか?」
「はっ。そうでした!」
メグたちが大慌てでやってくれたおかげで、なんとか予定に間に合った。
宮殿には、王族が集まって食事をとるためだけの晩餐室がある。
金でできたテーブルには真っ赤な薔薇の花が生けられ、上等な織物を使ったテーブルライナーの色は絨毯と同じ深紅。
並べられたナイフとフォークは、どれもピカピカに磨き上げられていた。
(今日の座席は特殊ですね)
世話人に案内された席についたシュゼットは短いベール越しに周囲を見回した。
テーブルの中央にアンドレ、両脇に宰相と王弟が座っている。
その向かいに王太后ミランダとシュゼットが肩を並べる形だ。
ラウルの姿はなかった。仕事のため不参加と聞いて、シュゼットは残念に思った。
この場に彼がいてくれたら、いくぶんか安心できたのに……。
シュゼットはちらりと王太后を見る。
自慢の茶髪を夜会巻きにして、紫色の瞳を際立たせる化粧をほどこしたミランダは、非常に美しくて気が滅入る。
(とうてい五十歳間近には見えません……)