おさがり姫の再婚 虐げられ令嬢は姉の婚約者だった次期公爵様に溺愛される
48話 再会は降りしきる雨の下
シュゼットは一礼してミランダから離れた。
そうでもしないと、みっともなく泣き叫んでしまいそうだった。
早足で廊下をゆく。
シュゼットのただならぬ様子を感じて、廊下に飾られた彫刻や絵画が心配そうな声をかけてくる。
(聞きたくないです)
耳を塞いでがむしゃらに走る。
足がたどったのは、いつか宮殿を抜け出すために通った道だった。
脇門に行くと、例の門番がぽんぽんのついた帽子を被って立っていた。
「やあ、この前の……。今日はずいぶんと汚れてるな。それに、そのベールは?」
「っ、なんでもないです」
シュゼットはベールを外して、サロペットのポケットに突っ込んだ。
陽が落ちて暗くなってきたおかげで、泣き顔は見られずにすんだようだ。
そもそも門番は、シュゼットを見ていなかった。
手に持った鏡に帽子を映してデレデレしている。
「これ、誕生日にあげた手袋のお礼にって彼女がくれたんだ。冬用なんだけど嬉しくって被ってきたんだよ。これから外出かい?」
「はい。また許可証はもらえてないんですけど……」
「いいよ、通りなよ。悪人じゃないって分かってるから大丈夫。おれはもう交代時間だけど、次のやつにも女の子が来たら通してやってって言っておくから」
「ありがとうございます。あと、伝言を頼めますか。王妃様付きのメグという侍女に、少し息抜きをしにいってくるから大騒ぎしないでほしいと」
「わかった。必ず伝えておくよ」
そうでもしないと、みっともなく泣き叫んでしまいそうだった。
早足で廊下をゆく。
シュゼットのただならぬ様子を感じて、廊下に飾られた彫刻や絵画が心配そうな声をかけてくる。
(聞きたくないです)
耳を塞いでがむしゃらに走る。
足がたどったのは、いつか宮殿を抜け出すために通った道だった。
脇門に行くと、例の門番がぽんぽんのついた帽子を被って立っていた。
「やあ、この前の……。今日はずいぶんと汚れてるな。それに、そのベールは?」
「っ、なんでもないです」
シュゼットはベールを外して、サロペットのポケットに突っ込んだ。
陽が落ちて暗くなってきたおかげで、泣き顔は見られずにすんだようだ。
そもそも門番は、シュゼットを見ていなかった。
手に持った鏡に帽子を映してデレデレしている。
「これ、誕生日にあげた手袋のお礼にって彼女がくれたんだ。冬用なんだけど嬉しくって被ってきたんだよ。これから外出かい?」
「はい。また許可証はもらえてないんですけど……」
「いいよ、通りなよ。悪人じゃないって分かってるから大丈夫。おれはもう交代時間だけど、次のやつにも女の子が来たら通してやってって言っておくから」
「ありがとうございます。あと、伝言を頼めますか。王妃様付きのメグという侍女に、少し息抜きをしにいってくるから大騒ぎしないでほしいと」
「わかった。必ず伝えておくよ」