おさがり姫の再婚 虐げられ令嬢は姉の婚約者だった次期公爵様に溺愛される
50話 離婚してその手を取れたら
「――そんな男は捨てればいい。幸せになれない結婚なんか続ける意味がない」
「離婚してしまったら私の居場所はどこにもないんです。実家には戻れませんから」
「なら、ここに来ればいい。俺が君の居場所になる」
甘い誘いに、シュゼットの呼吸が止まった。
エリックは、固まるシュゼットの頭に額をつけて懇願する。
「俺は図書館で会った日から毎日、君を想っていた。君が結婚する前に出会えたらと自分の間の悪さを恨んだ。だが、やっと俺の番が来たらしい」
「ダーエ先生、何を……」
目を丸くして振り返ったシュゼットを、エリックは潤んだ瞳で見つめ返した。
「離婚してここにおいで。俺が君を幸せにする。君が好きなんだ」
「!」
愛の告白だと分かった瞬間、顔がカッと熱を持った。
エリックは、こんな自分を――醜い傷跡のある、つまらない女を好きだと言う。
憧れの人に求められる喜びで、胸がはちきれそうだ。
「ダーエ先生……!」
振り向いて彼の首に腕を回そうとしたシュゼットは、左手の薬指にある指輪を見ておじけずいた。
(できません)
「離婚してしまったら私の居場所はどこにもないんです。実家には戻れませんから」
「なら、ここに来ればいい。俺が君の居場所になる」
甘い誘いに、シュゼットの呼吸が止まった。
エリックは、固まるシュゼットの頭に額をつけて懇願する。
「俺は図書館で会った日から毎日、君を想っていた。君が結婚する前に出会えたらと自分の間の悪さを恨んだ。だが、やっと俺の番が来たらしい」
「ダーエ先生、何を……」
目を丸くして振り返ったシュゼットを、エリックは潤んだ瞳で見つめ返した。
「離婚してここにおいで。俺が君を幸せにする。君が好きなんだ」
「!」
愛の告白だと分かった瞬間、顔がカッと熱を持った。
エリックは、こんな自分を――醜い傷跡のある、つまらない女を好きだと言う。
憧れの人に求められる喜びで、胸がはちきれそうだ。
「ダーエ先生……!」
振り向いて彼の首に腕を回そうとしたシュゼットは、左手の薬指にある指輪を見ておじけずいた。
(できません)