【リレーヒューマンドラマ】佐伯達男のおへんろさん

【おまわりさんに声をかけられた…もしかして…】

私は、中山川の河川敷の公園のベンチで足を休めた後、再び旅に出た。

この時、空が暗くなり始めた。

このまま、横峰寺に行くことは無理だ…

とにかく、寝るところを探そう。

ところ変わって、国道11号線・小松町大頭《こまつちょうおおと》のバス停付近にあるファミマ(コンビニ)にて…

私は、ここにあるベンチで野宿をすることにした。

しかし、寝ることができなかった。

その時であった。

付近を巡回していた駐在《おまわり》さんが私に声をかけた。

「もしもし…おへんろさん。」
「はい?」
「あんた、今夜はここで寝るの?」

私は『はい、宿がないもので…」と答えた。

駐在《おまわり》さんは、私にこう言うた。

「あんたさ、こんなところにいた風邪ひくよ…ここいたら落ち着かないから交番に来なさい。」

私は、駐在《おまわり》さんと一緒に近くの交番へ行った。

ところ変わって、ファミマの近くにある交番にて…

おまわりさんは、私に言うた。

「今夜はここで泊まって行きなさい。奥の部屋に、先客のおへんろさんがいるよ。」

親切な駐在《おまわり》さんに助けられた私は、交番の奥の部屋に行った。

この時、60前の男性のおへんろさんが奥の部屋にいた。

名前は、じゅんぞうさん…

前職は大学病院の外科医の先生だった。

次の日の朝6時頃だった。

私はじゅんぞうさんと一緒に横峰寺《よこみねじ》へ向かった。

お世話になった駐在《おまわり》さんにきちんとお礼をのべた後、出発した。

横峰寺《よこみねじ》は、険しいやまなみに囲まれた場所にあった。

札所へつづく登山道を一時間以上かけて歩いた。

ところ変わって、六十番札所・横峰寺《よこみねじ》にて…

参拝をすませたあと、納径帳《おしゅいんちょう》に朱印《しゅいん》をつけた。

その後、もと来た道を一時間以上かけて歩いた。

登山道の入り口の駐車場にある休憩所にて…

ふたりは、ファミマで買った手巻きずしを食べながら、身の上話をした。

それから一時間後に、じゅんぞうさんは旅に出ると言うた。

私は、休憩所でしばらく足を休めてから行くことにした。

じゅんぞうさんは、私に優しく言うた。

「高野山《ほんざん》までの道のりは、まだまだたくさんありますよ…無理をせずにのんびりと歩いて行きましょう…それでは、高野山《ほんざん》でまたお会いしましょう。」

私は、じゅんぞうさんと高野山《ほんざん》で再会することを約束した。

四国へんろの旅は、あと二十八札所あまり…

高野山《ほんざん》までの距離は、まだ多くある…

だから…

のんびりゆっくりと歩いて行こうか…
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