【リレーヒューマンドラマ】佐伯達男のおへんろさん

【時間がないよぅ〜】

話を戻す…

私たち夫婦は、ひどくあせり出した。

この時であったが、私が在籍している会社の定年が65歳まで延長された。

あと7年くらいは、会社でがんばろうと決めた。

私たち夫婦は、間もなく60代になる…

長女に対して私たち夫婦は『私たちは、年を取るのよ…私たちがいなくなったらどうするのよ!?』とあつかましく言うてるのに長女は言うことを聞かないので困っている…

長女のダンナも、落ち度があった。

長女のダンナは、総合商社から出向で取引先の会社に出勤することに対してより強い不満を抱いた。

『総合商社に在籍なのに別の会社へ出勤してくれと言うのはアイマイだ!!』

私たち夫婦は、長女のダンナに対して総合商社をやめたらどうかと提案した。

長女のダンナは、私たち夫婦の提案を受け入れる形で総合商社はやめた。

同時に、取引先の会社に籍を移した。

お給料は、どうにか14万円に上げてもらうことができた。

後は、長女とダンナを仲直りさせるだけ…

…ですが、思う通りには行きませんでした。

長女は、ダンナとはやり直したくないと言うてイコジになった。

私たち夫婦は、知人からの紹介で長女をクリーニング工場のパートタイマーに就職させるとともにダンナと仲直りをさせた。

ダンナは、実家の家族と別々に暮らすと言うた。

私たち夫婦は、アンドした。

後は、長男と婚約者の結婚を待つだけ…

夢に描いた老後が送れる…

…と喜んだ。

それから1週間後であった。

安心感にひたっていた私たち夫婦は、水を差された。

ある日の午後のことだった。

家の前で、妻と知人が立ち話をしていた。

妻は『長女がダンナとも仲直りできた…長男も嫁さんをもらうことが出来た…孫の顔を見るのが楽しみだわ…』と得意げに言うた。

妻の知人の女性は、めんどくさい声で『あんたはうらやましいわね〜』と言うた。

その後、妻の知人はどぎつい言葉で妻を攻撃した。

「あんたにひとつチューコクしておくけど、夢に描いた老後と言える時代はとっくに終わったのよ〜」
「それ、どう言うことよ?」
「それなら、イシダさんの家の話をするわよ。」

妻は『ああ、思い出したわ〜』と言うたあとこう言うた。

「イシダさんの息子さん…ああ、エスカレーター式の私立学園の卒業だったかしら〜」
「そうよ。」
「たしか…農林水産省の職員だった…」
「そうよ…」

妻の知人は、ものすごくめんどくさい声で妻に言うた。

「イシダさんカタの息子さんは、農林水産省を半年でやめたあと奥さまの知人のつてで民間企業に転職したのよ…だけど、3年前から休職の状態が続いているのよ…息子さんは部屋にこもりきりになった…今は…ネットゲームに明け暮れる毎日を送っているのよ。」

ご近所さんの息子さんが会社を休職した翌日から部屋にこもりきりになった話を聞いた妻は、ひどく動揺した。

「ええ…それ本当なの!?…イシダさんのご夫婦はどう言うてるのよ!?」
「ご夫婦はお手上げよ…ダンナさんは息子さんに対して『お前が仕事に向いて行かなくてどうするのだ!!』と何度も言うてるのよ…だけど…息子さんは反発するだけよ!!…会社の人も心配していると言うたけど、息子さんはさらに反発を強めたのよ…おとといだったと思うけど、イシダさんカタに息子さんの会社の人たち数人ほどが来たのよ…『みんな仲間だよ…みんなやさしいよ…』と言うてくださったのに、息子さんは『カエレ!!』と怒鳴ったのよ。」
「せっかく心配になって来てくださった人にカエレはないわよ…他に雇ってくださるところがないことが分からないだけよ。」

妻の言葉に対して、知人の女性はこうハンロンした。

「それじゃあ、あんたがイシダさんの息子さんの母親だったらどう対応するのよ?」
「アタシは…是が非でも行かせるわよ!!他に雇ってくださる事業所はないのよ!!」
「あんたは、イシダさんのご家庭のことを知らないみたいね!!」
「何よ!!アタシの言うてることが間違いと言いたいのね!!」
「イシダさんの夫婦は、結婚した時期が遅すぎたのよ…イシダさんの奥さまは39歳で息子さんを出産したのよ…ダンナさんは41だったわ…夫婦が結婚したのは39と37だったのよ!!」
「それはどう言う根拠があるのですか!?」
「根拠があるから言うたのよ!!イシダさんの奥さまは、約年の時にお見合いしたのがいかんかったのよ…その時に出会った人とデートした時だったかしら…イシダさんの奥さまが相手とデートしていた時だった…相手からのプロポーズの言葉が耳に入っていなかったのよ…何でだと思う?ヘッドフォンステレオの音楽に夢中になってたのよ…それで婚期を逃したのよ…だんなさんも、子供の時に親御さんから『結婚は難しい難しい…』と言うてばかりいたのよ…結婚をしたから自由がなくなる…てね…自分の結婚を考え始めたの35の時だった…けれど、親御さんは『あなたのことを思ってくれる人がいるかどうか…』と言うたのよ…」
「だから、イシダさんの息子さんとどう言うご関係があるのですか!?」
「カンケーがあるから言うたのよ!!…小学校から大学までエスカレーター式の私立学園で過ごした…言い換えたら、お受験の手痛いしっぺ返しが来たのよ!!あんたもそのうちひとごとではなくなるのよ!!」
「ちょっと…変なことを言わないでよ!!」
「変なことなんか言うてないわよ!!」
「これ以上、言いがかりをつけるのであれば考えがあるわよ!!」

妻は、知人を怒鳴りつけたあと家の中に逃げ込んだ。

妻は、全身をぶるぶると震わせながら怒り狂った。

うちはイシダさんの家と違うわよ…

うちは大丈夫よ…

その次の日の朝早くであった。

朝のテレビのワイドニュース番組を見ていた時だった。

男性アナウンサーが『今は入ったニュースです…警察に入った連絡によりますと…』と言うたあと岡山県浅口市のアパートで、ОLさんが男に刃物で刺されて大ケガをしたと伝えた。

被害を受けた女性は、長男の婚約者だった。

まさか…

長男が婚約者に対してストーカーしていたのでは…

ニュースを聞いた妻は、ひどく動揺した。

この事件が発生する1ヶ月前だった。

長男が電話で私たちに対して婚約者とうまくいかないと言うた。

妻は、長男に対して『ОKをもらえるように努力しなさい!!』と言うだ。

妻が言うた言葉が原因で、長男に過度なプレッシャーを与えた…

ОKをもらえるまでがんばりなさいと言う気持ちで長男に言うたのに…

どうすればいいのだ…

事件が発生する半月前だった。

長男が『婚約者から結婚を断られた…』と私たち夫婦に電話で言うた。

この時も『ОKをもらいなさい!!』と言うて長男に圧力をかけた。

それが原因で、長男が被害者の女性にストーカーをしたのではないか…

岡山県浅口市で発生したストーカー殺人未遂事件が発生した日から私たち夫婦は一睡もできない日々が続いた。

それから3日後であった。

岡山県浅口市のストーカー殺人未遂事件の容疑者は、長男の会社の同僚の男であったことが分かった。

容疑者の男は、広島県北部のJRの駅でケーサツに逮捕された。

容疑者の男は、三角関係のもつれが原因で長男の婚約者を刺したとケーサツに言うた。

容疑者は逮捕されたが、長男と連絡が取れなくなった…

長男は自分が婚約者を刺したと思い込んでいたので自暴自棄になったと思う…

私たち夫婦は、岡山県へ行くことを考えた。

その翌日であった。

ケーサツに逮捕された容疑者の男の実家で強盗殺人事件が発生した。

容疑者の実家の家族全員がハンマーで殴り殺されたあと、家の権利書が強奪された。

事件の容疑者が長男だった。

長男は、家の近隣で殺人事件を起こしたあと行方をくらませた。

ニュースを聞いた私たち夫婦は、より深い悲しみに包まれた。

さらにそのうえに、深刻な事件が発生した。

長女のダンナが、転職先の職場の上司の家族を家ごと焼払ったあと逃亡した事件が発生した。

家にいた上司の妻と生後間もない赤ちゃんが焼死した。

長女のダンナは、放火殺人の容疑で全国に特別手配された。

ことの次第を聞いた私たち夫婦は、長女とダンナをリコンさせた。

ああ…

私たち夫婦のせいで…

長男が特別手配容疑者になった…

長女のムコも特別手配者になった…

その上に長女が勤めていたクリーニング工場が閉鎖されたのでクビになった…

もうだめだ…

バンサクつきた…

それから3日後であった。

私は、妻と長女にこう言うた。

「オレ…今日…会社をやめた…今日までしゃにむになってがんばったけど…もう疲れた…オレは…明日から旅に出る…(長女)、おかあさんを頼むね…」

そして次の日の朝、私は四国へんろの旅に出た。
< 59 / 76 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop