【リレーヒューマンドラマ】佐伯達男のおへんろさん
【高野山へつづく道…】
私・しげみちは、高野山《ほんざん》へ向かって歩いた。
高野山《ほんざん》へ向かう前に、阿波の霊場・十から一の札所を逆にたどる形で行くようになっていた。
片足のマヒを引きずりながら歩いている私は、逆順で十番から一番の札所を参拝した。
一番札所の霊山寺《りょうせんじ》で逆順参拝を終えた。
私は、納径帳《おしゅいんちょう》に最後の朱印《しゅいん》をつけた。
その後、国道11号線を歩いて徳島方面へ向かった。
それから5時間後に徳島沖の洲マリンターミナルに到着した。
(ボーッ!!ボーッ!!)
私が乗り込んだ南海フェリーが汽笛を鳴らしながら出航した。
和歌山港に上陸したあとは、高野山《ほんざん》に向かって歩くだけ…
だが、私の身体《からだ》はボロボロになっていた。
プロ野球の審判員時代に無理したことが原因で、脳こうそくを患っていた。
それでも私は、片足のマヒを引きずりながらも四国へんろの旅を続けた。
甲板《デッキ》から海をながめている私は、静かにつぶやいた。
海もうすぐ、旅が終わる…
高野山《ほんざん》にたどり着いたら、そこで人生を終えよう…
私の命は…
もう長くない…
和歌山港でフェリーから降りたあと、私は高野山《ほんざん》に向かってひたすら歩いた。
紀の川の流れに逆う形で国道を歩いた。
この時、足が痛み出したので休憩することにした。
私は、紀の川の河川敷にある公園のベンチに座っていた。
この時、私は40代半ばの男性のおへんろさんと出会った。
「大丈夫ですか?」
私にやさしく声をかけたおへんろさんは、私に言うた。
「和歌山港《みなと》からよろけた足で歩いているあなたを見かけたので、心配になりました…大丈夫ですか?」
私は、しんどい声で『大丈夫だよ…』と言うた。
私に優しく声をかけてくださったおへんろさんは、弥太郎《やたろう》さん(46歳)であった。
弥太郎《やたろう》さんと私は、川のせせらぎを聞きながら身の上話をした。
「私は…元はプロ野球の審判員だった…けど…無理とがまんの繰り返しで…脳が病気になった…」
「そうでしたか…おつらい思いをなされたのですね…」
それから30分後であった。
弥太郎《やたろう》さんは、先に高野山《ほんざん》へ向かいますと私に伝えた。
「高野山《ほんざん》の奥の院でお待ちしてます。」
このあと、弥太郎さんは、再び歩き出した。
もう少し休んで行こうかな…
私は、そう思いながら目を閉じたあと眠りについた。
聞こえてくるのは…
川のせせらぎ…
そして…
私が、生まれた日のこと…
高野山《ほんざん》へ向かう前に、阿波の霊場・十から一の札所を逆にたどる形で行くようになっていた。
片足のマヒを引きずりながら歩いている私は、逆順で十番から一番の札所を参拝した。
一番札所の霊山寺《りょうせんじ》で逆順参拝を終えた。
私は、納径帳《おしゅいんちょう》に最後の朱印《しゅいん》をつけた。
その後、国道11号線を歩いて徳島方面へ向かった。
それから5時間後に徳島沖の洲マリンターミナルに到着した。
(ボーッ!!ボーッ!!)
私が乗り込んだ南海フェリーが汽笛を鳴らしながら出航した。
和歌山港に上陸したあとは、高野山《ほんざん》に向かって歩くだけ…
だが、私の身体《からだ》はボロボロになっていた。
プロ野球の審判員時代に無理したことが原因で、脳こうそくを患っていた。
それでも私は、片足のマヒを引きずりながらも四国へんろの旅を続けた。
甲板《デッキ》から海をながめている私は、静かにつぶやいた。
海もうすぐ、旅が終わる…
高野山《ほんざん》にたどり着いたら、そこで人生を終えよう…
私の命は…
もう長くない…
和歌山港でフェリーから降りたあと、私は高野山《ほんざん》に向かってひたすら歩いた。
紀の川の流れに逆う形で国道を歩いた。
この時、足が痛み出したので休憩することにした。
私は、紀の川の河川敷にある公園のベンチに座っていた。
この時、私は40代半ばの男性のおへんろさんと出会った。
「大丈夫ですか?」
私にやさしく声をかけたおへんろさんは、私に言うた。
「和歌山港《みなと》からよろけた足で歩いているあなたを見かけたので、心配になりました…大丈夫ですか?」
私は、しんどい声で『大丈夫だよ…』と言うた。
私に優しく声をかけてくださったおへんろさんは、弥太郎《やたろう》さん(46歳)であった。
弥太郎《やたろう》さんと私は、川のせせらぎを聞きながら身の上話をした。
「私は…元はプロ野球の審判員だった…けど…無理とがまんの繰り返しで…脳が病気になった…」
「そうでしたか…おつらい思いをなされたのですね…」
それから30分後であった。
弥太郎《やたろう》さんは、先に高野山《ほんざん》へ向かいますと私に伝えた。
「高野山《ほんざん》の奥の院でお待ちしてます。」
このあと、弥太郎さんは、再び歩き出した。
もう少し休んで行こうかな…
私は、そう思いながら目を閉じたあと眠りについた。
聞こえてくるのは…
川のせせらぎ…
そして…
私が、生まれた日のこと…