明日の空は
別れは突然に
「 ごめん。綾。別れて欲しい。 」
私たち2人のお気に入りのお店。
私が大好きなアップルティーを店員さんが
持って来てくれてるのが見えた。
別れて欲しい…??
「え…っと、なんで?どうしたの?」
やっとの思いで絞り出した私の声は私の声じゃないんじゃないかってくらい小さくて消え入りそうだった。
「カナダの…俺の憧れてる教授の研究室に呼ばれることになったんだ。」
紘は、薬の研究をしている研究者で
いつかそんなこともあるのかもとは思っていた。
でも、もし、そうなっても私のことは連れて行ってくれるものだと思っていた。
そうか、5年間という時間を過ごしてきたけど
私は必要じゃなかったんだね。
「…わかった、体に気をつけてね」
運ばれてきたアップルティーは一口も飲まなかった。
悲しくて、苦しくて、ぐちゃぐちゃの感情の中で
紘の身体を気遣う言葉だけが出てきた。
それは本心だった。
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