もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 テーブルに置かれたのは、ふわっといい香りがする湯気のたった薬膳粥と体に良さそうなナッツやドライフルーツやお豆がふんだんにトッピングされたサラダ、そして小豆とサツマイモの白玉。デザートまでついていて感激だ。

 鶏ガラスープで炊いたお粥は疲れた体に染み入るようで、とてもおいしかった。
 

 食べていたのはわたしだけだったので、お二人に申し訳ないと思いつつ、綺麗に平らげた。
 
 店を出て、そこで別れることになった。

 紀田さんは満面の笑みを浮かべてわたしを見た。
「加藤さん、今日は本当にお疲れ様でした。慣れないことで色々大変でしたのに、不満一つ漏らされないのだから。あなたにご協力いただけて本当に良かった」

「そんな。わたしこそ、不慣れすぎてお二人にご迷惑をかけたのではないかと心配していたのですけれど」

 SHIHOさんは首を振った。
「いいえ、まったく。慣れないところも可愛いというか、初日らしい初々しい写真が取れて、満足してます」
「そう言っていただけて、ほっとしました」

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