もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 
 あんなふうに衝動を抑えきれずにキスをするなんて、はじめてのことだった。
 酔いが回っていたのかもしれない。

 でもそれは、一番、やってはいけないことだったのだと、今さらながら後悔が怒涛のように襲ってくる。

 でも誓って、同情なんかでキスした訳じゃない。
 
 俺は優紀が好きだ。

 それを強烈に意識したのは、書店で優紀が小学生の子に和やかに接しているのを見かけたとき。

 そのときの彼女は、俺には決して見せてくれない表情をしていた。
 そして、自分でも驚いたのだが、優紀が優しく接しているその少女に、嫉妬のような感情を抱いていたことだった。

 プロジェクトが始まり、多くの時間を共に過ごすようになって、その想いはますます募っている。

 苦手なことでも懸命に取り組むひたむきさも。
 甘いものを食べているときの、なんともいえない可愛さも。
 あの、切なげな表情さえ。
 
 どんな彼女も、可愛くて仕方がない。 

 思えば、高3のとき、美容師になることを決心させてくれたあの日も強く心惹かれた。

 俺のものにしたい、とさえ思った。

 だが、まだ中学2年の優紀と付き合うのは、さすがにまずいと、あの時は心にブレーキをかけた。

 それに優紀には浩太郎という恐ろしい番犬がついていた。
 中学生の優紀に手をつけるような不埒な振る舞いをしてしまったら、冗談じゃなく、奴に半殺しの目に合わされていただろう。

 とはいえ、付き合いが深まれば、自制して我慢できるかどうか、当時18歳の俺には正直、自信がなかった。
 
 
 
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