もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
その後、美容学校、美容院への就職、そして渡米。
俺を取り巻く世界は目まぐるしく変わり、優紀はまた遠い存在になっていった。
正直に言えば、専門学校時代やニューヨーク時代、女性との付き合いがまったくなかった訳ではない。
だが、日本に戻り、店を出すと決めた後、ステディな関係になった女性は一人もいない。
見合いの話は山のようにあったし、知人から紹介されることもあった。
だが、彼女たちはみな、香坂ホールディングスの御曹司としての財力や、〈リインカネーション〉の代表である地位や権力を通して、俺を見ている人ばかりだった。
その打算が透けて見えてしまい、付き合いを断ることを繰り返してきた。
でも、彼女たちと優紀は違う。
これまで告白しようとしたことが何度もあった。
だが、そのたびにプロジェクトの最中だと思いとどまった。
あの優紀のことだ。
もし、そのことで気まずくなったら、よけいに負担をかけてしまうだろうと思い、控えていた。