もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 とにかく魅力的すぎるのだ、この人は。
 彼が道を歩いていれば、男女問わず誰もが振り返る、それほどの美貌の持ち主だ。

 子供のころ、兄と玲伊さんに交じって、わたしも一緒にこの本屋でよく遊んだ。
 漫画を立ち読みしたり、宿題を教えてもらったりした。

 そして……

 実を言えば、彼はわたしの初恋の人。
 玲伊さんのお嫁さんになりたいって、ずっと思っていた。

 本当のことを言えば、今でもその気持ちは変わっていない。
 25歳の今日まで、彼以上に好きになれる人が現れず、男の人と付き合ったことは一度もなかった。

 でも……

 大人になった今、玲伊さんと結ばれるなんて、まったく見込みのない夢だということは、自分でもよくわかっている。

 だって、しがない本屋の店員の、なんの取り柄もないわたしが、カリスマ美容師にして御曹司である彼と釣り合うはずがない。
 
 だから最近、ちょっと困っていた。
 〈リインカネーション〉が開業して以来、彼がうちの店にしょっちゅう顔を出してくれるようになったから。

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