もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
「優ちゃんは自分を過小評価しすぎ。今朝だって、会議室にいた全員が、優ちゃんがモデルを降りなければならなくなったことを惜しんでくれたじゃないか」

「それは……約束が違ってしまったからでは?」

「それもあるけど、優ちゃんが何事にも一生懸命で必死に取り組んでくれる姿勢に、全員、心打たれていたんだよ。あそこにいたメンバーだけじゃない。ジムのインストラクターだって、優ちゃんは本当によく頑張っていると言っていたし。それに笹岡だって。彼女、自分にも他人にも厳しい人間だから、めったに人はほめないんだよ」

「……」

「優ちゃんは魅力的だよ。外見も中身も。俺を夢中にさせるぐらいなんだから、いい加減自信持ってくれよ」

 それから、彼はあらためて訊いてきた。

「それで、優ちゃんの返事は?」
「えっ、さっき言ったし……」
「そうじゃなくて『付き合って』の返事」
「そんなの、もう、わかってるじゃないですか、玲伊さん」
「ちゃんと聞きたい。長い間、待ち望んできた瞬間なんだから」

 じっと、わたしを見つめながら、彼は言う。
 ドキドキが限界点に達してしまう。

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