もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
「はい、本当にそう思います。笹岡さん、素敵です」

 玲伊さんは「うん」と頷き、わたしを包んでいた腕をほどいた。

 そして、肩をそっとつかむと、額と額を合わせて、そっと呟いた。

 彼の吐息を間近に感じ、わたしの体から、また力が抜けていきそうになる。

「本当はこのまま連れて帰って、ずっと一緒にいたいけど……ちゃんとご両親や藍子さんに許可を得てから付き合いたいんだ」

「玲伊さん……嬉しいです」

 だから、今日はこれだけ……な。

 そう囁いて、首を傾けて唇を重ねた。

 あのときは、彼の唇の感触がひどくつらく感じたけれど。

 今は……
 このまま時が止まってしまえばいいと思うほど、幸福だった。

 ***

 その週の週末。
 玲伊さんはレストラン〈ルメイユール・プラ〉の個室に、わたしの両親と祖母、そして兄を招いてくれた。
 
 約束の1時間前に呼び出されていたわたしは、玲伊さんの部屋でフルメイクをしてもらい、髪はシニョンにまとめてもらった。

 
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