もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
「しかも玲ちゃんがあたしの孫になるかもしれないって話だろう。いやぁ、めでたい、めでたい」

 わたしは慌てて言った。
「おばあちゃん、気が早すぎるって」

 でも玲伊さんは「私もとっても嬉しいですよ。藍子さんの孫になれたら」と、いともあっさり答えてくれた。

「じゃあ、玲伊が俺の弟ってこと? なんかぴんと来ねえな」

「まだ早すぎるって、そんな話」とわたし一人、顔を真っ赤にしていた。

 父が穏やかな口調で言った。

「あまりにもありがたい話でして、正直、まだ驚いてますが、いや反対する理由なんてあるはずがないですよ」

「どうもありがとうございます」と玲伊さんはもう一度頭を下げた。

「優紀が悩みを抱えて沈んでいたころは、わたくしどもも大変心配しておりましてね。でもお義母さんから見違えるように元気になってきたと聞いて、ほっとしていたところでした。あなたのおかげだったんですね。改めて礼を言わせてください」

 その言葉に、家族全員が頷いた。

 噂にたがわず、ディナーはどれもすばらしいものだったけれど、残念ながら味はよく覚えていない。

 帰り道、母だけはまだ信じられないようで「でも、なんでうちの優紀が。あの、香坂玲伊さんが。いや、嬉しいのよ、とっても嬉しいんだけど」と首をかしげていたけれど。




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