もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 「まだ、信じられない。ずっと夢のなかにいるみたい」
 彼の腕のなかで髪を撫でられながら、わたしはついそう呟いてしまう。

 もう何度、その言葉を口にしただろう。
 会うたびに繰り返していた。

 「いや、現実だよ。ほら」
 そう言うと、玲伊さんはわたしの頬を両手で包んで、触れるか触れないかのキスをくれる。

 そのままの至近距離で、彼はもう一度、囁く。

 「どう? もし夢なら、なにも感じないはずだけど」
 「え、えーと」
 「まだわからない?」

 彼はすこし口角を上げて、熱のこもった目で見つめてくる。
 そして斜めに傾けられた彼の顔がまた近づいてきて、舌先がわたしの唇を左右にそっとなぞった。

 「あ……っ」
 未知の感覚に襲われ、わたしは思わず身を震わせてしまう。

 「ほら、夢なんかじゃないだろう?」
 その後、耳のそばに唇を近づけ、一段低い声で囁く。

 「ちゃんと感じてるじゃない……」

 その言葉が耳に入ったとたん、カッと頬に血が上った。

 これまでにないほど、頬が火照っている。
 どれほど赤くなっているか心配になるほど。

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