もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 わたしが頬を膨らませると、彼は、ハハっと声を立てて笑った。
 
 「俺が言いたいのはつまり、なんにも気を使わなくていいってこと。わかる? こんなことしたら嫌われるとか思わなくていいんだよ。そのままの、飾らない優紀でいてくれれば」

 「玲伊さん」

 その言葉があまりにも嬉しくて、わたしは自分から腕を回して、彼の首にしがみついた。

 「おっと、ビールが零れるよ、優紀……」
 
 
 わたしの手から缶をうばい、少し離れたところに置いてから、あらためて、ぎゅっと抱きしめてくれた。

 「本当に嬉しくて仕方ないんだ、俺は。こうして、一緒に暮らせることになって」
 「わたしも……」

 こんな嬉しいこと、生まれてはじめて。
 と言おうとしたのに、また、全部言い終わる前にキスされてしまった。
 
 いつものように、わたしの身も心も蕩けさせてしまう、甘い口づけに応えながら、彼の言葉を噛みしめていた。

  飾らない優紀でいてくれればいい。
 
 以前、落ち込んでいた時期のわたしを、本気で心配してくれていたからこその言葉なのだろう。

 この人と出会うことができてよかった。
 心の底から喜びか溢れてくる。

 そして、ずっとずっと大切にしなければ。

 彼のたくましい腕に包まれながら、わたしはそう強く思っていた。




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