もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
第8章 偽シンデレラの正体
そうして、玲伊さんの部屋に住むようになり、高木書店に通う生活がはじまった。
それからしばらく経ったある日の午後、律さんが書店にわたしを尋ねてきた。
「優紀さん、おひさしぶり」
「律さん、わ、本当、ひさしぶり」
「これから『アンジェ』に行こうと思ってるんですけど、できたら一緒に行きません?」
「うん、大丈夫だと思う」
わたしは祖母に断って、律さんと一緒に店を出た。
***
「いらっしゃい」
レトロ喫茶店『アンジェ』のドアについているベルがチリンと鳴って、カウンターにいたマスターの白石さんが声をかけてくれた。
彼もうちの兄の同級生。
長い髪を後ろで結び、バンドカラーの白シャツにベージュのパンツに黒のギャルソンエプロン。