もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 玲伊さんは笑った。
 吐息が首筋にかかり、思わず身を縮こませる。

「前の優紀だったら考えられない発言だな」
「あ、ほんとだ」
 
 玲伊さんはわたしから離れると、パンとひとつ手を叩いた。

「そうと決まれば、さっそくトリートメントだ。さ、早く片付けてしまおう」
 彼は食器を手に取ると、シンクに向かった。

「俺が洗うから、優紀はそこらへんのもの、片づけてくれる?」
「はーい」

 実は、一緒に夕飯を取れるのは結構レアで、こうして並んで片づけものをするのも、なんだか嬉しい。

「施術はサロンで?」
「いや、サロンに行くまでもない。こっちで施術しよう」
「洗面所で? でも、洗い流せないんじゃない?」

 玲伊さんは蛇口を閉め、濡れた手をタオルでぬぐうと、わたしを後ろから抱きしめて、言った。
「洗面所じゃなくて、風呂」
「えっ? お風呂で?」
「ああ。優紀、誘ってもなかなか一緒に入ってくれないし」

 かあっと頬に血が上る。

 玲伊さんはうなじに口づけながら「嫌?」と聞いてくる。

 わたしは小さく、首を横に振った。

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