もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
「じゃあ、どこならいいの?」
「もう」

 玲伊さんは片方だけ口角を上げ、バスタオルを取って、わたしを包みこんだ。
 
 浴室に入ったあとは、ちゃんと当初の目的を思い出してくれて、洗い場でシャンプーとトリートメントをしてくれた。

「どう? 気持ちいい?」
「うん……最高に気持ちいい」

 彼のシャンプーは本当に気持ちがいい。
 力加減が絶妙だし、洗いあがると頭皮まで生まれ変わったようにすっきりする。

「まあ、愛情をたっぷり込めてるからね、優紀にシャンプーするときは」
「いつもと違うの?」
「当たり前。仕事のときは、こんなに毎回丁寧にはできないよ」

 そんなふうに、自分だけ特別って言ってもらえるのは、やっぱり嬉しい。

 そういえば、彼にシャンプーをしてもらうのは、はじめて愛を交わした日以来。
 ふと、あの日の記憶がよみがえり、また顔が火照ってくる。
 
「ヘッドマッサージはバスタブのなかでしようか」
 
 大きなジェットバスなので、二人ではいっても悠々と脚を伸ばすことができる。
 そして、今、わたしのヘッドレストは玲伊さん。
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