もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
第9章 心と体を磨くバカンス、そして

 
 忙しいさなかではあったけれど、従業員のリフレッシュのため、お盆休み明けの3日間、〈リインカネーション〉は夏季休業を取ることになった。

 普段は休日も施術を優先する玲伊さんだったけれど、今回は完全オフ。
 わたしも祖母に休みをもらい、玲伊さんの運転する車で、箱根に向かっていた。

「もう少し時間があれば、海外に行きたかったんだけど。近くでのんびりするのもいいかと思って」
 運転席から玲伊さんが言う。

「ううん。旅行できるなんて思っていなかったから、とっても嬉しい」
「俺も嬉しいよ。2泊3日、72時間まるまる、優紀と一緒にいられるんだから」

 相変わらず、玲伊さんは惜しげもなく甘い言葉を投げかけてくれる。
 はじめは照れくさかったけれど、今はそんな玲伊さんがますます好きになっていた。

 有料道路を使い、2時間弱で宿泊する宿に到着した。

「涼しいね」
車を降りたとき、思わず声が出た。
 わたしの言葉に、玲伊さんも頷いている。

「さすがに東京よりも快適だな」

 木々を通り抜けてくる涼風が肌に心地よい。

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