もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 「あ……」
 口移しで飲まされて、首筋にしずくが垂れてしまう。
 それをまた、彼は舐めとったりするのだ。

 「や、玲伊さん……仲居さんが来ちゃうよ」
 「別にかまわないよ」
 「やだって。そんなの、嫌……」

 そう言って、彼の手から逃れて、向かいの席に戻ったとき「失礼します」とふすまの向こうから声がした。

 本当に、あやうく見られてしまうところだった。

 「もう、本当にあんなのは嫌だから」
 わたしはちょっと拗ねてしまった。
 「ごめん、怒った?」

 でも、彼はまったく手抜かりのない人。
 ちゃんとスペシャルなデザートを注文していてくれた。

 それも、レストランで出てくるような、お皿に綺麗に盛り付けられたデゼール。
 「併設のフレンチレストランに特別注文しておいたんだよ。明日のディナーはそっちだ」と玲伊さんは得意顔。

 大好きなシャインマスカットをふんだんに使った、最高の一品だった。

 「これでも許してもらえない?」
 「……許さなかったら、お預け?」
 「よくおわかりで」

 わたしは答える代わりにマスカットを手に取って、口にほおばった。

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