もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
「俺、本当にこの店が好きなんだよ。それがここで本を注文する理由かな。できるだけ長く店を続けてほしいから。俺ひとりの売り上げじゃ、そう助けにもならないだろうけど」

 そう言って微笑む彼につられて、わたしも頬を少し緩めた。

「玲伊さんがうちの店が好きって言ってたって、おばあちゃんに伝えておきますね。きっと大喜びしますよ、さすが玲伊ちゃん、いいこと言うって」

  玲伊さんは、嬉しそうな顔で、軽く頷いた。

「じゃあな」
 と行きかけて、「あ、そうだ」とふたたび足を止めた。

「あさっての水曜日、雑誌を配達してくれる日だよね」
 わたしは卓上カレンダーを見て「あ、はい。そうですね」と答えた。

「できたら午後1時ごろ、来てほしいんだけど。大丈夫かな」
「1時なら大丈夫です。3時半ごろから用事があるけど。でも、なんでそんなピンポイントなんですか?」

 玲伊さんはちょっと考えてから「秘密」とだけ言った。

「訳を話したら、速攻で断られそうだから」
「それなら、行きません」

 すると彼はわざとらしく上目遣いになった。
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