もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 玲伊さんは耳元で甘く囁く。

 「もう我慢できない?」
 わたしはこくっと頷いてしまう。

 彼はそんなわたしの顔にかかっていた髪をやさしく払いながら言った。

 「でもね、今日はたっぷり時間があるし、じっくり可愛がってあげたいんだ」
 
 それから彼は、なめらかな指先や熱い唇で、本当に、あますところなくわたしに触れていった。

 体の線や背筋をなぞるように指先で触れながら、唇は腕の内側から鎖骨、みぞおちへとすべってゆく。

 でも、なぜか、いつもすぐにわたしを喘がせてしまう胸の尖りは触れずに避けてゆく。

 焦ったくて、わたしは思わず声を漏らす。
 「あ……ん、れ……いさぁん」

 すると今度は、彼の手がわたしの脚にかかる。
 そして、右足を少し持ちあげ、そろそろとゆっくり膝の辺りから唇を這い上らせてくる。

 今や、もうとっくに玲伊さんが施してくれる快楽の虜になっていたわたしは、そんなふうにされると、早く敏感なところに触れてほしくて、たまらない気持ちになってしまう。

 「あっ……」
 でも、わたしの望みは充分すぎるほど察しているはずなのに、玲伊さんはやっぱり、そこに触れてくれない。
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