もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
「プラネタリウムみたい」
 わたしは首が痛くなるほど、上を向いた。
 満天の星なんて、生まれてはじめてだったから。
 
「優紀」

 ずっと夜空を眺めているわたしを、彼が呼んだ。
 こころなし、いつもより緊張を帯びた声音で。

 どこにいるのかと辺りを見回すと、玲伊さんは少し離れた篝火のそばに立っていた。

 星に気を取られていたわたしは、てっきりそばにいると思っていたので、驚いて駆け寄った。

「どうしたの? 玲伊さん」
 火に照らされた横顔も、やっぱり少し緊張気味だ。

「何か話があるの?」
「ああ」

 彼はわたしを見て、ひとつ息を吸った。
 琥珀色の目が、ぱちぱちと勢いよく燃える篝火の炎を映している。

 
「俺は一生、優紀のそばにいたいと思ってる。結婚、してくれないか」

 その言葉とともに差し出された赤い小箱。

 彼が蓋を開けると、そこには、ダイヤのリングがやはり炎を受けてきらめいていた。

 その瞬間、息が止まったかと思った。

 同棲を始めるとき「結婚前提で」とは言われていたけれど、社交辞令のようなものかなと受け止めていた。
 だからこんなにも早くプロポーズされるなんて、本当に思っていなかった。

 
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