もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~

「うちの両親は話がわかるほうだから、安心していいよ」と玲伊さんは言ってくれたけれど、なにしろ、はじめてお会いするのだから、とても緊張した。
 右手と右足が一緒に出てるよ、と玲伊さんに指摘されるほど。
 
 でも、彼の言うとおりだった。
 お二人はとても温かくわたしを迎えてくれた。

「美容師を目指した時点で、玲伊はうちから完全に独立したと思っているから、わたしたちになんの遠慮もいりませんよ」と玲伊さんの父、香坂昭伸氏は穏やかな様子で告げた。

 物腰も話しかたも、とても柔らかいけれど、さすが大企業を率いている方だけあって、黙って座っているだけでも圧倒されるほどの貫禄がある。

 彼の正面に座ったわたしは思わず姿勢を正してしまったほどだ。

 一方のお母さんの美千絵さんはとても美しい、けれど、とても気さくな方だった。
 玲伊さんはお母さん似で、彼女の美貌をそっくりそのまま受け継いだことがわかった。

「まあ、本当に可愛らしい方。わたくしは大賛成よ。玲伊にお見合いの話を持っていっても断わられてばかりだったから、心配していたの。この子、何か理由ありで結婚する気がないんじゃないかって」
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