もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 懸案のご両親挨拶の後に待っていたのは、マナー特訓。

 先生はとても物腰の柔らかい方だったけれど、指導はかなりのスパルタ。
「短期間で一通りのことを覚えるのは並大抵のことではありませんよ。ちゃんとついていらしてね」

 次のお稽古までにできていないと、その日のお稽古は見てもらえないので、先生に指摘されたところを必死で覚えた。

 なにしろ一周年記念のディナーパーティーは、すぐそこまで迫っている。
 しっかり気合を入れて取り組まないと。

 こんなに勉強をしたのは高校以来だと思いながら、深夜まで自主練を続けた。
 
 そんななか、パーティーの席上で結婚の報告をしたい、という玲伊さんの意向で、8月末の縁起の良い日を選んで、わたしたちは入籍した。

 式や披露宴は、後日、あらためて大々的にする予定だけれど、ただ入籍届を出すだけというのも味気ないので、当日、屋上でガーデン・パーティーを開いて、ごく親しい人たちの前で届けを書こうということになった。


 
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