もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 その日は屋上に、うちの家族全員と、国際会議に出席するために渡米している玲伊さんのご両親の代わりに、二番目のお兄さんご夫妻、笹岡さん、岩崎さんを招いた。

「こんなに嬉しいことは久しぶりだよ」と祖母は涙を流して喜んでくれた。
「本当に玲伊が俺の弟なのかよ」と兄は相変わらず、そんなことを言っていた。

「オーナー、優紀さん、本当におめでとうございます。大好きなお二人が結婚されるなんて、わたしもめっちゃハッピーです。ね、笹岡さん」

「ええ、おめでとう。おふたりとも」
「もう、もっとないんですか? 笹岡さん、オーナーと長い付き合いなんですから」
「岩崎、ちゃんと気持ちは伝わってるから」と玲伊さんは岩崎さんの肩をポンと叩いた。

 それから、耳に口を寄せて、何か言った。
 とたんに律さんは真っ赤になって、急に大人しくなってしまった。

 後で聞いたところによると「白石、今、フリーらしい。チャンスだぞ。岩崎」と囁いたそうだ。

 彼女の想いが通じたら、わたしも嬉しい。
 思わず顔がほころんだ。

 その夜、集った人たち全員に心から祝福されて、また忘れられない思い出がわたしの心に刻まれることとなった。


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