もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~

「うん、完璧だ。鏡、見てごらん」
 洗った手をタオルでぬぐいながら、玲伊さんはわたしを促す。

 わたしは鏡に目を向けた。
 玲伊さんにメイクをしてもらったとき、鏡のなかの自分はいつもとまるで違う、と思ってきた。

 けれど、今日は、本当に別人だとしか言いようのない仕上がりだった。
 
 丁寧な手入れを重ねてもらった黒髪は、つややかで一筋の乱れもない。

 度重なるのエステで磨かれた肌は、なめらかな真珠色。
 薄紅色のチークが肌の白さを引き立てている。

 付け睫毛とアイラインでよりくっきりしている二重瞼と、黒曜石を思わせるつぶらな瞳。

 唇も毎晩のパックのおかげでふっくら瑞々しい。
 ローズ系のリップで彩られ、まるで朝露に濡れる花びらのようだ。

 そして、このひと月で変わったところは、外見だけではなかった。

 マナーの先生の厳しい指導のおかげで、立ち居振る舞いにも自信が持てるようになっていた。
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