もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
***
〈ルメイユール・プラ〉は結婚式の披露宴の会場としても人気なので、同じ階に多くの控室を備えている。
そのなかの一室に案内された。
「合図があるまで、ここで待機してくれと言われてますので」
彼女は腰に下げているポシェットからイヤホンを出して、装着した。
それから、嬉しそうな顔で笑った。
「なんか、芸能人のサプライズ企画みたいでドキドキしますね」
「わたしが顔を出しても、しーんとするだけだよ、きっと」
「そんなこと、ないですって。皆さん、絶対、大祝福してくれます。お似合いすぎのカップルだと言って。もう、本当に、そんな弱気なこと、言っていたらだめですよ」
律さんはわたしの背中をぱんとひとつ叩いた。
その部屋にはモニターが置かれていた。
今は食事と歓談の時間のようで、20台ほどのテーブルに分かれて座っているゲストたちはみんな、シェフの料理に舌鼓を打っている。