もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~

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 〈ルメイユール・プラ〉は結婚式の披露宴の会場としても人気なので、同じ階に多くの控室を備えている。
 そのなかの一室に案内された。

「合図があるまで、ここで待機してくれと言われてますので」

 彼女は腰に下げているポシェットからイヤホンを出して、装着した。
 それから、嬉しそうな顔で笑った。

「なんか、芸能人のサプライズ企画みたいでドキドキしますね」

「わたしが顔を出しても、しーんとするだけだよ、きっと」

「そんなこと、ないですって。皆さん、絶対、大祝福してくれます。お似合いすぎのカップルだと言って。もう、本当に、そんな弱気なこと、言っていたらだめですよ」

 律さんはわたしの背中をぱんとひとつ叩いた。

 その部屋にはモニターが置かれていた。

 今は食事と歓談の時間のようで、20台ほどのテーブルに分かれて座っているゲストたちはみんな、シェフの料理に舌鼓を打っている。


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