もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 画像のみだと思っていたら、音声も入っていた。
 それもかなりはっきり聞こえる。

 集音マイクに近いのだろう。
 若い男女の楽し気なおしゃべりが聞こえてきた。

「ね、わたし、どうだった? あそこにいる女優よりだんぜん綺麗だったでしょう。だって、あの香坂玲伊にヘアケアしてもらったんだから。それもほとんど毎日」
 
 この声。
 忘れようとしても忘れられない。
 事あるごとに、わたしに暴言を浴びせてきた、桜庭乃愛(のえ)の声だ。


「いや、そりゃ勝ってるでしょ。なんといっても、今日の主役は乃愛ちゃんだし」

「本当に綺麗。そのドレスもとってもよく似合ってるよ」
 
 そんな彼女を友人たちがほめそやしている。

 会社でもそうだった。
 周りは彼女のご機嫌取りばかり。


「それにしても、香坂さんって、ほんっとに素敵ね」

「いいなあ、乃愛(のえ)。彼とお近づきになれて」

 女性陣の興味はやっぱり玲伊さんにあるらしい。 
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