もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 
***

 パーティーが引けた後、一階のヘアサロンにスタッフが集まり、簡単な打ち上げが行われた。

 テーブルに数種類のドリンクと簡単なつまみが用意されると、玲伊さんが乾杯の音頭をとることになった。

「今日は長い一日だったな、お疲れ。明日はゆっくり休息を取るように。ではちょっと1周年の挨拶を、といきたいところだけど、どうも話が長いみたいだからね、俺は」

 スタッフがうんうんと頷いている。
 その様子に、玲伊さんはちょっと片頬を上げ、それから続けた。

「煙たがられるのはごめんだから簡単に済ませるよ。みんな、この一年、本当にお疲れ様、そして今日はどうもありがとう。じゃあ、乾杯!」

 全員が「カンパーイ」と大声で続き、各々が手にしているカップを高く掲げた。

 やはりこの席でも、わたしたちは多くの祝福を受けた。

 玲伊さんは、なんと、頭からビールをかけられている。

「おい、どうしてくれるんだよ、これ燕尾服なんだけど」と文句を言いながらも、嬉しそうに笑っている。

「でも……大丈夫かな」
 と、岩崎さんが少し心配そうな声を出した。

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