もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 すると、彼の手の動きが急に止まった。

 「えっ?」
 「もっとしてほしい?」

 わたしは首だけ回して、堪えきれないと目で訴える。
 あんなことをされて、情欲を焚きつけられて、普通でいられるわけがない。

 「でも、今は……ここまでにしておくよ。後でたっぷり可愛がってあげるから」
 「どうして?」

 玲伊さんはちょっと困った顔をして、それから耳朶をそっと噛みながら囁いた。
 
 「俺、ちょっと興奮しすぎてる。今、優紀のなかに入ったら、一瞬で暴発しちゃいそうだからさ」と。

 あけすけで正直な言葉に、わたしは顔を赤くして俯いた。

 彼は顔にかかっているわたしの髪を両手で後ろに回し、それから唇を啄んだ。

 ふたりともバスローブだけ身に纏い、玲伊さんはこんなときでも丁寧にわたしの髪を乾かしてくれた。
 
 「もう一度、乾杯するか」
 そう言って、彼は冷蔵庫から缶ビールを取り出し、ナッツをお皿に乗せてソファーテーブルに置いた。
 
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