もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 そのうち、さっきのシャワーブースで火を付けられた、たまらなく悩ましい感覚に、ふたたび捉えられてしまう。

「あ……ん、玲伊……さん」

 彼は半身を起こすと、熱のこもった視線をわたしに据えた。

 そして、わたしが弱いところを熟知している彼の指は、両方の胸の尖端を捉える。

「やっ、ああん……」

 感じている様を余すところなく見られていることの羞恥と、じわじわと脚の間に熱がたまってゆくような快楽に、わたしは声をあげながら、いやいやするように首を左右に振る。

「ああ、可愛いよ……もっと感じてみせて」

 絶え間なく漏れるわたしの声に煽られ、彼の行為も激しさを増してゆく。

 わたしが幾度も絶頂に達し、声も枯れはてたころ、ようやく彼がわたしを押し開いた。

「あぁ」
 二人で同時に、ため息のような声を上げる。

「ゆ……うき」
 今までにない激しさで抱かれながら、必死で目を開けて、わたしは彼を見つめ続けた。

 情欲に身を焦がす、この世のものとは思えないほど美しい彼……わたしだけが知っている玲伊さんの姿を。

「れ……いさ……ん」

 まるで祈りを捧げるかのように、わたしは彼の名を呼んでいた。

 そんなわたしの声に答えて、彼は、まるで自分の存在をわたしに深く刻みつけるかのように、激しくわたしを貪りつづける……

 わたしが欲しているように、彼もわたしを欲してくれている。
 そのことが、何にも増して、わたしを陶然とさせた。

 そして、心も体も、未知の快楽へと(いざな)われていった。


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