もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 でも……
 そんな玲伊さんが、好きで好きでたまらないわたしも、まったく人のことは言えないのだけれど……

 「玲伊さん」
 「ん?」
 見つめ合うわたしたちに、鳴海ちゃんが遠慮がちに声をかけてきた。

 「あのぉ……もしかしてお二人とも、わたしがいること、忘れてませんか?」

 「あっ」
 「ごめん、ごめん」

  わたしと玲伊さんがあわててそう言うと、鳴海ちゃんはニヤニヤしながら「いつまでもアツアツでもう羨ましすぎですよ。あーあ、わたしも彼氏欲しいなぁ」とか言っている。

 そんな鳴海ちゃんの言葉に、わたしはつい、ふっと頬を緩めた。


 「なんだ、優紀。思い出し笑いなんかして」

 「ここに今、おばあちゃんがいたら、手で顔をパタパタあおいで『あー、あつい、あつい』とか言ってるだろうなと思って」

 「ああ、確かに」

 わたしと玲伊さんは、同時にレジに目を向けた。

 正確に言えば、レジではなく、あの日、高木書店の前で四人で撮った写真に。

 その時、またお腹を蹴られた。
 「はいはい」
 お腹を優しく撫でていると、玲伊さんが「優紀、座った方がいいんじゃないか? 俺ももう行くから」
 「うん」

 言われた通り、わたしはレジ横の椅子にゆっくりと腰を下ろし、写真立てを手に取った。

 今度のお休み、玲伊さんと一緒におばあちゃんに会いに行きたい。
 そんなことを思いながら……
 

 〈The Happy End!〉

 *最後までお読みいただきまして、どうもありがとうございましたm(_ _"m)


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