もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
そして、もうひとりの見知らぬ女性が立ち上がり、笑みを浮かべたままこちらに向かってきた。
明るめの茶髪のショートカットにモカ色のパンツスーツが良く似合っている。
彼女も笹岡さんに負けず劣らず〈できる女〉オーラを全身から発散している。
やっぱり、わたし一人、あまりにも場違いだ。
居たたまれない心地に、自然と顔がうつむいてしまう。
「この方ですか?」
「そう。どう、今回の企画にピッタリじゃない?」
「ええ、まさに原石ですね。磨けば磨くだけ、光、輝きそう」
「でしょう?」
彼女はわたしの前に一歩進み出て、手にしていた名刺を差し出した。
「カレンの紀田と申します。よろしくお願いします」
「あ、加藤優紀です」
名刺に目をやると、紺色の用紙に白抜きの文字で「『KALEN』 編集部 紀田 カスミ」と書かれていた。
「えっ『KALEN』って、あの雑誌の『KALEN』の編集の方なんですか?」
『KALEN』は20代から30代の女性に絶大な人気を誇るファッション誌。
昨年、創刊45周年記念号を発売して即完売となり、話題になった。
増刷分を注文してもなかなか入ってこなくてお客さんに文句を言われたのが、記憶に新しい。
明るめの茶髪のショートカットにモカ色のパンツスーツが良く似合っている。
彼女も笹岡さんに負けず劣らず〈できる女〉オーラを全身から発散している。
やっぱり、わたし一人、あまりにも場違いだ。
居たたまれない心地に、自然と顔がうつむいてしまう。
「この方ですか?」
「そう。どう、今回の企画にピッタリじゃない?」
「ええ、まさに原石ですね。磨けば磨くだけ、光、輝きそう」
「でしょう?」
彼女はわたしの前に一歩進み出て、手にしていた名刺を差し出した。
「カレンの紀田と申します。よろしくお願いします」
「あ、加藤優紀です」
名刺に目をやると、紺色の用紙に白抜きの文字で「『KALEN』 編集部 紀田 カスミ」と書かれていた。
「えっ『KALEN』って、あの雑誌の『KALEN』の編集の方なんですか?」
『KALEN』は20代から30代の女性に絶大な人気を誇るファッション誌。
昨年、創刊45周年記念号を発売して即完売となり、話題になった。
増刷分を注文してもなかなか入ってこなくてお客さんに文句を言われたのが、記憶に新しい。