もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 そう言って差し伸べられた手を、わたしはためらいながらも握った。

 彼はリビングを横切り、サイドボードの横にあるドアを開けた。

 そして、その部屋に入るように促した。

「わあ……」
 一歩足を踏み入れるなり、息を飲んだ。

 そこは、まるでヨーロッパの宮殿の一室のような、豪奢なインテリアで飾られた部屋だった。

 部屋の中央には大きなシャンデリアが輝き、窓にはドレープを描いた光沢が美しいベージュピンクのカーテンがかけられている。
 その前には、大きな陶器の壺に白を基調とした花々が生けられ、床は薄いピンクにグレイの斑入り大理石。
 金色の猫足のアンティークの寝椅子がソファー替わりに置かれていた。

「ここは?」
「VIP専用のサロンだよ」
 
 部屋の奥には真珠色のオーガンジーで仕切られたブースがあった。
 中に入ると、大きな鏡の前にアンティーク家具を思わせる革製のセット椅子が置かれていて、サイドに洗髪台も備えられていた。

「さ、こっちへ来て」
 上着を脱ぎながら、玲伊さんはわたしをセット椅子に座らせた。

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