もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 玲伊さんはヘアアイロンのプラグをつなぎ、それからブラシを手に持った。
「ハーフアップかお団子、どっちがいい?」
「えーと、じゃあ、お団子で」
「了解」

 玲伊さんはあっという間に髪をまとめてくれた。
 次に前髪をクリップで留め、コットンで顔を拭き、まるで絵具箱のような、色とりどりのメイク道具が入ったボックスを開け、魔法のような手際で、わたしの顔にメイクを施してゆく。

 その間、ドキドキしっぱなし。

 玲伊さんとの距離が近すぎる。

「ちょっと、目つぶって」
 わたしの肩をつかみ、覆いかぶさるようにアイメイク。
「上、向いてくれる」
 今度は顎に手を添えられ、紅筆で口紅を塗られ……
 ものの10分で、メイクは完成した。

「鏡、見てごらん」
「えっ? すごい」
「言ったとおりだろう?」
 玲伊さんはさらに仕上げだよ、と言って、ヘアアイロンでおくれ毛をカールした。

 あらためて鏡をのぞく。
 とても自分とは思えない。 

「玲伊さん、すごいです。魔法みたい」
 わたしが感嘆の声を漏らすと、鏡のなかの彼は微笑んだ。
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