もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~

 頭を下げるわたしに、彼は念を押した。
「『やっぱりやめます』はなしだよ」
「もちろん、言いません」

「責任感の強い優ちゃんのことだから、そんなこと言わないって知ってるけどね」

 玲伊さんはふっと口元を緩め、目をきらめかせた。

「楽しみにしてて。必ず想像以上の結果を出すから」
 彼はわたしのケープを外した。
 それから待合室へとわたしを連れてゆき、〈リインカネーション〉のパンフレットを渡してくれた。

「今回の企画では、ヘアの施術だけじゃなく、うちの施設をフル活用してもらうことになっているんだ。最初の一、二か月は下準備。食事の管理からはじめて、ジムやエステに通ってもらう」

 パンフレットをめくりながら、わたしは答えた。
「いろいろやることがあるんですね」

「もちろん、書店の仕事に支障をきたさないように配慮するから、困ることがあったら遠慮なく言って。調整するからね。最終的に9月の一周年記念の日のイベントに参加してもらうことになっていて、それがゴールになる」

「本当にわたしでいいのか、まだ疑問ですけど……玲伊さんを信じてやってみます」

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