もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
第3章 〈くろいうさぎ〉の切ない願い
 「優お姉さん、めちゃくちゃ可愛い!」
 店に帰ってしばらくすると、小学生たちがやってきた。

 5年生の鳴海ちゃんが目ざとくわたしの髪型をほめてくれる。

 「すっごく、大人っぽいよ。わー、お化粧もしてるよね! めちゃめちゃ綺麗」
 「ありがとう。さ、奥に行こうか」
 
 来てくれたのは、鳴海ちゃんと、2年生の悟くんと1年生の愛美ちゃんの三人。

 子供の成長は驚くほど早い。

 はじめて来たとき、鳴海ちゃんはまだ2年生で、ちょこんと最前列に座ってわたしの読み聞かせに目を輝かせていたのに、今や最年長の頼りになるお姉さんだ。

 この店に小学生が集うようになったのは、わたしが働きはじめてから割とすぐのこと。

 近くの団地に住むお客さんから「遊び場所がなくて困っている」と聞いたことがきっかけだった。

 そこで奥の居間を開放する日を作り、宿題をしてもらったり、お絵かきしてもらったりしていた。あるとき「絵本読んで」とせがまれて、それから読み聞かせもするようになった。
 
 
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