もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
「えっ?」と言って、両手を頬に当てたとき。
「遅くなってごめんなさい」と、今度こそ鳴海ちゃんのお母さんがやってきた。
「お母さん、遅いよー」
鳴海ちゃんは居間から店に降り、お母さんのそばに駆け寄っていった。
ごめんね。お仕事が長引いちゃってと言いながら、遅れてそばに行ったわたしに、レジ袋に入ったメロンを渡してくれた。
「優紀さん。これ、おばあちゃんと食べて」
「わ、すごい、美味しそう。どうしたんですか?」
「親戚から送ってきたのよ。うちじゃ食べきれないから」
「ありがとうございます」
わたしが頭を下げると、彼女はううんと首を振る。
「こちらこそ。本当に助かっているのよ。水曜日は無理やり仕事を切り上げなくていいから。じゃ、鳴海、帰ろうか」
「うん。優お姉さん、バイバイ」
「バイバイ」
わたしと同時に玲伊さんも挨拶をした。
聞きなれない男の人の声に、鳴海ちゃんのお母さんはつられて彼のほうに目を向けた。
そして、「えっ、嘘」と言いながら、口に手を当てた。