もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 再会したのはそれから6年経ったあと。俺が高校3年で彼女は中学2年のときだった。

 久しぶりにあの店に参考書を買いに行くと、たまたま優紀がいた。

「久しぶり。優ちゃんが店番?」
「おばあちゃんが買い物に行っている間だけですけど」
 優紀ははにかみながら、そう答えた。

 制服のブレザー姿の彼女はすっかり大人びていて、目にしたとたん、ドキッとしたのを覚えている。
 あの、小さかった優ちゃんが……

 でも、その再会は懐古的な感傷をもたらしただけでなく、俺の人生を大きく変えるきっかけになった。

 そのころの俺は進路に悩んでいた。

 担任も親も四年制の大学に行くのが当然というスタンスだったし、三人の兄たち同様、将来、会社の一翼を担うことを念頭に、経済か法科を受験すべきなんだろうなと、漠然と考えているだけだった。

 でも、気が進まなかった。
 それが自分のしたいことかと言われれば、答えはノーだったから。

 だから受験勉強にも身が入らず、模試の成績もパッとせず、三年になってから、ずっと気持ちがもやもやしていた。

 
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