もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 その後、岩崎さんが一覧になっているスケジュール表の見方を教えてくれた。

「KALENさんが希望する撮影日にアスタリスクがつけてあります。そのなかで都合の悪い日がおありでしたら、後でいいので教えてくださいますか。あと、体調不良などで来られない時は、前日、もしくは当日の朝、必ずわたしにご一報ください」
「はい、わかりました」

 そこまで話し終えたところで、玲伊さんと笹岡さんは椅子から立ち上がった。
「じゃあ、これから岩崎が各階を案内するから。一緒に回りたいところなんだけど、今から一件、予約が入っているんだ」
「予約? お休みの日ですよね」
「ああ、VIPサロンだけは顧客の都合を優先するから。どうしても今日でなければ、という方がいらしてね」

 玲伊さんは一緒じゃないのか。
 ちょっとがっかりしたけれど、それからすぐに考えなおした。

 休みの日にも予約が入るぐらい忙しいのだから、玲伊さんがわたしの世話ばかりしていられないのは当然のこと。
 逆に、ここ数日、わたしのために時間を割いてくれていたのが特別なことだったんだ。
 
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