もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
「加藤さんって、オーナーとどういうお知り合いなんですか? おふたりはとっても親しいですよね。もしかして彼女さんだったりして?」
彼女? わたしが?
「まさか、違いますよ。わたしの兄が香坂さんの友人で、小学生のころ、わたしも一緒に遊んでもらったことがあって」
「じゃあ、幼なじみってことですね。うわ、それ、めちゃくちゃ羨ましいです!」
エレベーターの狭い空間に岩崎さんの声が響きわたる。
わたしはその声に少したじろいだ。
「いえ、幼なじみって言えるほどではないですよ。わたしは兄のおまけだっただけで」
「でも、あの、スパダリを絵に描いたようなオーナーと知り合いってだけで、もう充分羨ましいです!」
岩崎さんは同意を求めるように、こっちを見た。
「え、ええ。まあ」
「わたし、ここに勤めていますけど、オーナーは本当に雲の上の方で、普段はまったく関わりがないんですよ。だから今回、シンデレラ・プロジェクトを担当することになって、同僚にずいぶん羨ましがられました」
「そうなんですか」